「都政リポート創刊」都議会事情通がみる新しい都政・都議会の展望

16年間、都議会・都政の内側から見てきて、ある意味当たり前と思っていたことも、一歩引いて外側から見てみると、気が付くことが多くあります。
都議会や都政改革の機運を持続させていくために、まずはその実情を知ってもらうことも必要と考え、政策的な観点とはちょっと違った、「都政や都議会の素朴な疑問」「最新の話題」を解説し、少しだけ提言も含めた「都政リポート」を執筆していこうと思います。
都政を理解する一助にしていただければ幸いです。

なお、本ブログにはリポートの一部のみを掲載させていただきます。全文をご覧いただける方は「都政リポート」のページからお願いします。

 

都政リポート(創刊号)

都議会事情通がみる新しい都政・都議会の展望

議会人事〜ふるい都議会を新しく変えられるか第一会派の真価が問われる

衝撃的な結果に終わった都議会議員選挙を経て、平成29年7月23日より第20期都議会の任期がスタートした。

一部の報道機関では早速、各会派の勢力関係、議長人事などの情報を取り上げている。

8月8日に予定されている臨時議会に向けて、各会派の代表者がどのような交渉を展開していくのか。過去、その渦中にあった経験から、提言を交え、水面下で行われていた交渉の舞台裏にスポットライトを当てていきたい。

ふるい都議会、慣習からみる議会人事について

当面の日程

7月24日、各会派から会派結成届、会派世話人届が提出

7月26日、世話人協議会にて、会派代表者会の設置及び臨時議会の招集時期等が協議されます。ここまでは、政治的対立案件ではないので、スムーズに進むはずです。

7月31日、各会派代表者会が開かれ、臨時議会招集日、議会運営委員、交渉団体、議席、臨時議長、正副議長、常任委員、陳情等の取扱についての協議が行われます。

都議会においては臨時議会直前までの交渉が4年間の各会派の位置づけを決めるので、熾烈な交渉が行われます。

8月8日、臨時議会

1.正副議長人事
(過去の議長人事回顧)

正副議長人事は、都議会第一会派から議長、第二会派から副議長という暗黙の原則である。しかし、この原則はそのとき時の都合で変えられてきた、過去、共産党が都議会第二会派となった時、都議会第一会派であった自民党と連携し、第三会派であった公明党が副議長を担って以来、公明党が副議長人事を独占しているのは周知の事実である。民主党が第二会派となったときには、共産党の時と同様に、自民党との連携によって、また民主党が第一会派になった時には、第二会派となった自民党が王様病を発揮し、副議長なら受けないとの姿勢を示したため結果として引き続き副議長を担う事となった。

(議長人事の駆け引き)

今回、一部情報では都民ファーストの会が「公明党から議長を」と打診したが公明党は固辞したことであり、第一会派の都民ファーストの会から議長、第二会派の公明党から引き続き副議長が選出されることになるとみられる。

都民ファーストの会にとっては、議長人事を通じて都議会における公明党とのさらなる連携を志向していたと考えられるが、公明党にとっては議長選出会派としての責任を負わされることを避けると共に、従来の慣習を大きく変えることに抵抗感があったものと考える。

都民ファーストの会にとっては、議長人材難を解決し、豊富な経験を有する公明党の力を最大限取り込むことが出来なかった点は手痛く、今後の人選と合わせて、見どころである。
候補者は、なんとなく想像がつきますが・・・ここでは伏せておきます。

2.常任委員会人事
(常任委員会と特別委員会、ポスト争いのポイント)

都議会には9の常任委員会があり、また必要に応じて特別委員会を設置してきた。19期においても、オリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会や豊洲市場移転問題特別委員会、さらには百条委員会が設置されてきた。

また8年前、当時都議会民主党が第一会派となったときには、特別委員会(築地市場及び新銀行東京)の設置などの対立により臨時議会が開けず流会になった経緯もある。

19期ぎりぎりまで、自民党は20期においても豊洲市場問題を審議する特別委員会を設置させるべく働きかけを行っていた。しかし、20期当初段階では、都民ファーストの会も公明党も特別委員会設置の必要性を否定している模様であり、その是非はともかくとして、市場問題は「経済港湾委員会」で、オリンピック・パラリンピック問題は「文教委員会」などで議論されることになる。その前提で、常任委員会人事も議論されることになるわけだが、都議会においては、前述したとおり、臨時議会前の交渉によって、会派単位での、委員会所属人数及び委員長・副委員長・理事ポストの数が決められ、会派の構成人数が変わらない限り、その枠組みは4年間維持される。そしてその割り振りに基づき、会派内にて各議員の所属委員会、委員長等のポストの回しが行われる。

(自民党の主張にどう対峙するか)

以上を前提として、その時々の重要事項を取り扱う委員会において主導権を握るため、与野党にて委員長ポストの主張がなされる。

今回、政策的に見て重要な議論が予定されているのは、経済港湾委員会と文教委員会と見られ、両委員会での安定的な委員会運営あるいは、反対勢力からすれば戦略的な委員会運営を志向し、ポスト争いが行われる訳だが、8年前に過半数割れした当時と比較し、圧倒的な少数野党となった自民党には割り当てられる委員長ポストも限られており、そのパワーは感じられない。王様病が抜けきらない自民党のせめてもの主張として、財政委員会及び警察消防委員会の委員長ポストを求めているようである。

都議会における筆頭委員会は総務委員会とされているものの、実質的に主要委員会と自民党が考えているのが前述の両委員会であり、近年この2つの委員長ポストを離したことは無い。

その理由として、財政委員会は予算編成や契約を司る財務局や歳入の根幹を担う主税局を所管しており、また警察消防委員会はまさに取締機関である警視庁を所管している故と考える。そこにどのような利権が存在していたかは想像にお任せする。

これらの内情も踏まえ、都議会第一会派となった都民ファーストの会の増子幹事長が公明党の東村幹事長と連携し、自民党の秋田幹事長に対峙していくのかが注目点である。

また、常任委員会とは別に各種委員の割り振りも決められるが、都議会のドンと言われた内田前議員の提案により設置されたとされる東京都税制調査会の位置づけや都議会から選出される特別委員の扱いも注視すべき点である。

3.監査委員同意人事
(議会人事でちょっと異質な監査委員)

以後は、「都政リポート」のページで

 

(創刊号は8月1日付けですが、執筆は7月30日までに得た情報に基づいています。)

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